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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第29章 for dear my imaginary blank


「同感だ」

そう言ったのはギルだ。

腕を組んだまま言葉を続ける。

「しかも今回のケースは例外だ。
今まで公子しか認識できなかったのに、今回はアントーニョとロヴィーノにも認識できた。
なぜだ? これは異変解決の糸口になるんじゃねぇか?」

私の疑問を、当然ながらギルも感じていたようだ。

アーサーは頷く。
        、、
「いずれにせよ、そこに行かなければどうにもならない。
だからメンバーを決める。まず公子だ。
それから彼女の護衛と、テレポートコントロールで俺がついていく」

「俺も行く」

間髪入れずに、アントーニョが低く告げた。

二人は睨みあうように、視線を交差させる。

張りつめた沈黙を破ったのは、

「お前はお兄さんとお留守番ね」

いつもの軽いノリで肩を組んできた、フランシスだった。

アントーニョはにこりともしない。

顔を硬く強ばらせたまま、肩の手をどけようとする。

「フランシス、今はふざけとる場合ちゃうで」

「ふざけてんのはお前だろ」

冷めた声でギルが言った。

彼の表情は、真剣そのものだった。

「鏡を見てみろよ。そんなツラしたやつになにができるってんだ?」

「……」

アントーニョは、暗く、憎しみすらこもった目でギルを突き刺す。

それを真正面から受けとめ、ギルは冷然と続けた。

「感情に振り回されて他の同行者に迷惑をかけるに決まってる。
第二、第三のロヴィーノをうむつもりか?」

「兄さん――」

たしなめるルートを制止するギル。

アントーニョは押し黙ったまま、俯きがちで拳を震わせていた。

気まずげな空気の中、アーサーは机を見渡す。

「じゃあ、あとは――」

「俺に行かせて」
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