第28章 on the planned system
トマトがふんだんに使われているのか、全体がなんとなく、赤く、つやつやしている。
バジルや名前のわからないハーブも散らされていて、いい香りを漂わせていた。
白いのはモッツァレラチーズだろうか。
パスタに絡まって、見ているだけでお腹が鳴りそうだ。
盛られた食器もお洒落だ。
欧風の雑貨屋さんで見たことのある、上品な模様があしらわれた白い食器。
普段の私なら「シャレオツー!」とか笑っているところだが、そんな真似、ここではできない。
「うまそうやろ? ロヴィが作ったんやで!」
「本当ですか!? すっごい美味しそうです!」
はしゃぐ私と親分を、苦い顔で睨むロヴィーノ。
頬が赤いですぜ。
「食べてもいいですか?」
尋ねると、一拍置いて、「フンッ、食えばいいだろ」と言わんばかりな顔で頷いた。
いただきますと手を合わせてから(親分もノリノリでやってくれた)、私とアントーニョはフォークにパスタを絡め、口に運ぶ。
新鮮なトマトと、爽やかな香味のハーブと、ふにゃふにゃなチーズと、“ザ・アルデンテ”な麺が織りなす壮大なハーモニー……――って、
「「美味しい!!」」
私とアントーニョの声が、見事にデュエットした。
ロヴィーノのしかめられていた眉が、少しやわらぐ。
本当に美味しい。
都会のお洒落なイタリアンと同じ、いや、全くそれ以上の美味しさだ。
思わず支払いのための財布を探しそうになった。
美味しいのはパスタだけでなく、言わずもがな照れを隠しているロヴィーノもだ。