第28章 on the planned system
「――というわけなんです本当にすみませんでした」
親分のベッドにいた(ここだけ見るとひどい)経緯を話し、私は深々と頭をさげた。
その先にいるのはロヴィーノだ。
腕を組み、不信感もあらわに私を睨みつけている。
「もうえぇやろロヴィーノ、不慮の事故ってやつや」
私の隣にいるアントーニョが、軽い口調で言った。
テーブルに肘をつき、欠伸までしている。
不慮の事故って表現も、ちょっと微妙な気もするんですが……
私たち3人はテーブルについており、ロヴィーノとアントーニョが向かいあっていた。
二者面談というか、私と親分が子分に叱られる配置になっている。
というのも、私とアントーニョがシエスタっている現場を目撃した彼は、いかがわしい何かを早とちりしたらしい。
「ちぎー!」と可愛らしく喚き、私たちを起こして……今に至る。
「うっせー変態コノヤロー!」
「ちょっ!? 変態はひどいでロヴィーノ!」
それにしても、ロヴィーノのへその曲げようはなかなかのものだ。
怒っている対象が親分なのか、私なのか、微妙にわからない。
複雑な子分心、といったところか。
「ロヴィ~パスタ冷えてまうで、親分はよ食べたいわ!」
なだめるような声色でアントーニョが言った。
その視線がテーブルの皿に落ちる。
そこには、湯気と食欲をそそる匂いを立ちのぼらせる、パスタが鎮座していた。