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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第27章 By the turning point







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


廊下に突っ立っている人物が目当ての人物だとわかり、アルは呼びかけた。

「おーい、マシュー!」

駆け寄っていき、背中をバシッとたたく。

「まったく、いつまでも来ないから探しに来たんだぞ! まだこんなところにいたなんて、一体どうしたんだい?」

話しかけるが、反応はない。

俯いているため表情はわからなかった。

アルは不審に思って、マシューの顔を覗きこむ。

「具合でも悪いのかい?」

すると、マシューが顔を上げた。

そこには不自然なほどの無表情があった。

「どうかしたのかい?」

「ううん、なんでもないよ」

何事もなかったかのように、マシューはいつもの温和な笑顔をパッと浮かべた。

訝るアルに、マシューが尋ねる。

「制御室のパスワード覚えてる?」

「急になんだい? 覚えてるに決まってるじゃないか!」

「そう、ならいいんだ」

「それより早く会議場へ行こう、みんな待ってるんだぞ!」

「そうだね、アル……ごめんね」

「ん? いいんだぞ、きみの遅さには慣れっこだからね!」

意気揚々と歩き出すアル。

マシューは、携帯の電源をつけた。



「……ごめんね」

マシューの呟きが、アルに届くことはなかった。
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