第6章 おとうとびお 風邪
そして、今は。
ベットに寝かされている。
隣の部屋から誰かと電話している飛雄の声がする。
「っ…だから、〜を〜で!」
…?なにいってるんだろ。
「あ、はい、わかったっス。待ってます。」
電話を切り、こっちにやってくる足音がした。
「あ、飛雄。」
「あ?なんだよ?」
「誰と電話してたの?お母さん?」
私の言葉に飛雄は明らかに動揺したような顔をして、
「…なんでもねぇよ。」
と、短くつぶやいた。
「ふーん。そっか、ねぇ飛雄。寒い。」
「え、あ、ワリィ。今毛布持ってくる。」
パタパタ、とかけるような足音。
はっはーん、誰か呼んだな。
たぶん、スガあたりだろう。
30分後。
「ピーンポーン」
2人っきりの家にはよく響く、チャイムの音がした。