第6章 おとうとびお 風邪
あー、
だめだこの感じ。
頭が痛い。
「おかーさん…」
とりあえずどうしたものか、と母親に相談しようとするとそこには弟の姿しかなかった。
「あ?母さん旅行だぞ。」
「え…。」
ズキっ…
また頭に激痛がはしる。
顔をしかめると、飛雄が不思議そうにこっちをみた。
「もう出なきゃな。姉ちゃんどーすんの?」
「え、あ…。ちょっとまってメールだ。」
メールは澤村から。
「飛雄、今日休みだって。」
…良かった。
こんな状態じゃ部活いけないし、
助かった。
「きゃっ…」
ふらり、と倒れそうになるのを
「…っぶね。」
飛雄が支えてくれた。
「ありがと。」
そう告げて、歩こうとすると飛雄に止められる。
「…風邪かよ。」
「あはは、ばれちゃった?」
「とりあえず…えーと、寝てろ。家のことは俺…がするから。」
「え?いーよ」
「あ?無理すんなよ。こんな時くらい休めっつーの。
…無理しすぎなんだよ。お前は…」
照れたように背を向ける飛雄に、
今日はかわいさじゃなく…
頼もしさを感じた。