第2章 霞む赤髪に、夢
『なーんか、ほっとけない雰囲気だったんだもん、神田ちゃん。』
あの日の前も、その後も、
なにかとかこつけては化学準備室に遊びに行っていたし、
普段は他愛無い話しかしないからこそ、この前の言葉が引っかかって。
(嬉しい勘違いなんて、柄じゃない。)
元々さっぱりとした性格という事もあって、女の子以上に男の子とも仲良く過ごしているし、何方かと言えば現実味ある事ばかり言う辛辣なキャラだというのに。
(気に掛けてくれてる、ことは、喜んでいいのかな。)
柄にも無く緩む頬を、袖口で拭うように隠す。
「じゃ、みんな。今日から期末テスト一週間前ということで部活も無い訳だし、とっとと帰れよ〜そんじゃ、日直。挨拶!」
愛しい人の声を皮切りに、
きりーつ、きをつけ、れーい。
間延びしたアキラの声が聞こえて、教室がざわざわと動く。
「さようなら」
(また、明日。)
顔をあげた先の先生に、心の中でそう呟く。