第1章 揺れる青髪に、恋
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ふふ、と小さく笑みをこぼし、ゆっくり煙を肺に貯める。
「…ちゃん、ちゃん?」
「んあ、はい?」
「考え事?」
「いや、センセと一緒に煙草吸うようになったきっかけ思い出して、笑っちゃいました。」
「あーね」
先生は少しばつの悪そうな顔をした後、微笑んだ。
「屋上で、怒られるのかと思ったら急に一緒に吸い出して。
"屋上はダメだから、困ったら化学準備室においで"なんて。」
「そんなんだったかなぁ~」
わざとらしい返答をして、ふうと白い煙を吐き出す。
「なーんか、ほっとけない雰囲気だったんだもん、ちゃん。」
ざ、と荒々しく灰皿に煙草を押し付けて、先生は立ち上がった。
「え?」
「さ、そろそろ昼休みも終わるよ。ちゃんも教室に戻って!」
「あ、え、はい。」
先生は切れ長の目をさらに細くして笑って、私の頭をぽんと撫でた。
(この時間が、いつまでも続けばいいのに。)
そんなことはないって、ずっと分かっていたのに。
(続)