第13章 SPECIAL STORY
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「留学の話が、なくなった?」
「はい…」
今晩多分、学校に連絡が行きます…と恐る恐る言うと、やっぱりみんなの頭にははてながいっぱいのようで。
「ご両親のお仕事、なにかあったんですか?」
泉が申し訳なさそうに私に聞く。
「それが、ねえ…」
『困ったらいつでも連絡してね?』
タツキ先輩とは、夏休みのイベントあとの打ち上げで連絡先を交換して以来
ちらほらと連絡を取っていた。
もちろん、そういう事もあって留学の話が決まったこともタツキ先輩に連絡をしていた。
(まさか、確かに、困ってはいたけど…)
「その…そもそもの留学理由が、新規事業に賛同して、投資金額を最も多い額提示してくれていたから、イギリスの企業になったので…っていうことだったんですけど…」
タツキ先輩は今度はシュークリームに手を伸ばす。
「その額を…2倍近く上回る額を投資してくれた、企業がいて…」
「ま、まさか…」
珍しく勘の鋭い朴が、恐る恐るタツキ先輩を見た。
「困ってる可愛い後輩は、助けてあげなくちゃ。ね?」
可愛らしく首をかしげて、タツキ先輩が笑う。