• テキストサイズ

深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第13章 SPECIAL STORY


「…何があったのかはわかりませんが、
あなたを見ていたら、大体の事は分かりますよ。」
うちの馬鹿が迷惑をかけたこととか…いろいろ、ですかね。

私は小さく笑って、前を見た。
「ほーんと、泉って変な奴」
「なんですか突然」
「でも、すんごい良い奴。」
「仲間が一番気持ちよく過ごせる関係を、常に探しているだけです。」
それをいいやつって言うんだよ、私が笑って泉の背中をたたくと、
泉は少しむっとしたけれど、私は何処か嬉しくて。

「そういえば、今日アキラが、アルスマグナでさんのお見送りパーティをしようと言っていましたよ。」
「んえ?アキラが?」
「はい。明日、部活の時間にでも、と。」

彼のワガママ、もう少しだけ聞いてあげてください、という泉に、
甘えてるのはこっちだよ、と小さく笑う。

気付けば男子寮と女子寮の前で、
「歩いて帰るのも、悪くなかった。」
「なら、よかったです。ではまた。」
「ん!また…明日」

ふと、振り返った泉が、小さくつぶやく。
「…今日は随分とタバコの匂いがきつい事も、見逃してあげます。」


(幸せになれて何よりです、あなたらしく強くね。)


なぜか、そういわれている気がして、
私は唇だけでありがとうを伝えた。
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp