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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第9章 沈む、沈めない、沈む




新手のナンパかと思い、体をこわばらせ、そちらをじっと見つめていると、狐さんはいよいよ笑い出した。

「〜っあっはっは!せーんぱい、僕です僕。」
「ぱ、朴…!」

狐のお面の下から出て来たのは、朴だった。
びっくりしたあ、と胸を撫で下ろし、2人で笑い合った。
「朴は?一人で来てるの?」
「クラスの子たちと来てたんですけど、はぐれちゃって。」
「あらあら、私と一緒だね。」
そこで、連絡がつかなくなった事を思い出して、朴に代わりにメッセージを入れてもらうようお願いした。

「あ、あと、このお祭りは先生方見回りしてますから、喫煙するの気をつけてくださいね。」
「あ、そーなんだ、ありがと。」
メッセージを打ちながら朴にそう言われ、直ぐにタバコの火を消した。

「にしても、ほーんとびっくり!」
朴は携帯をポケットにしまうや否や急にそう言いだした。
「なにが?」
「アキラ先輩と付き合った、って聞いて。」
逆側のポケットから取り出した飴を私に差し出し、朴は言葉を紡いだ。
「なーんか、どっちかっていうと奏先輩みたいな感じの人のが好きなのかな、って。」
「うーん、泉も仲はいいけど、恋愛って感じじゃないね〜。」
「奏先輩と先輩並んだら近寄りがたそう〜」
「あ、悪口。」
ふふ、と2人で笑う。

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