第8章 闇夜に溶かして
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その日の夢は、少し違った。
深い深い海の奥底、
濃紺に包まれて、とても息が苦しくて、どんどん視界が霞んで行く中で、揺れる青紫の髪が見えて。
(たすけて)
唯一動く右手を伸ばしても、青紫の髪は揺らめくだけで、
(たすけて、せんせ)
ふわりと笑って、先生は光の差し込む水面に向かって、泳いで行ってしまう、だけど。
(ぬくもり…)
伸ばした右手は、海の中漂っているけれど、ふと目をやると、左手を誰かが握っていて。
(あ、き…ら…)
2人で、深海にゆっくり沈んでいる。
気付けば息苦しさはなくなって、霞む視界の中、私は優しく笑うアキラを見た気がした。
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