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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第6章 堕ちる心と昇る泡





ストレッチと新曲の振り落としを軽くこなした後、
スマートフォンを取り出し、メッセージアプリを見る。
期末テスト一週間前から、めでたく俺はと付き合った訳だけど。
これはお試しで、彼女には本命がいて。

(惚れさせる…って何…)

とのトークルームをぼんやり見て、ため息をつく。
自分の押しの強さ…というか、勢いの良さとわがままさにほとほと呆れる。
でも、仮でもOKをもらえたという事は、彼女の心には、それなりに俺のスペースがあって、
もっと深い部分に入る余地はまだ、あるはずで。

(どんだけ、好きなんだか…)

やっぱり、考え事は向いていないな、なんて思っていた時だった。

「ほーんと、先輩のこと大好きですね!」

休憩中にの朴の一言に俺は吹き出す。
「ぎゃ!アキラっちょきったな~ぁい!」
タツキ先輩がしかめ面で俺を見る。

慌ててスマートフォンを隠し、朴を睨む
「な、なんだよ急に!人の携帯覗き込むな!」
「だってえ~休憩はいってすぐに携帯見るから、彼女かな?って」
へへへ~と嬉しそうに笑う朴の一言に、固まる。
「か、彼女じゃねーし」

「そうですか。期末テスト期間も何度か
二人で下校していましたから、てっきりそういう関係なのかと。」

何処からともなく現れた泉が、俺を見てにやりと笑う。

「基本的にスケードボード登下校で有名な彼女が、
誰かと肩を並べて歩いているものですから驚きましたよ、ね?アキラ。」

「え~!アキラっちょ彼女できたのお!?」
聞いてないよぉ~と、タツキ先輩まで入ってきた時だった。



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