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深海のリトルクライ(アルスマグナ/九瓏ケント)

第3章 寂寥の青と純真の赤




アキラは、暫く静かに泣く私の、背中をずっとさすり続けてくれて、すこしずつ冷静を取り戻した私は小さく深呼吸をして、ゆっくりと言葉を紡いだ。




「私、先生の事が好きでね。卒業したら告白しようって、思ってた。」

私は今まで抱えていた悩みを、アキラにぽつりぽつりと話した。

「でも、先生は私の事、生徒としてしか見てなくて、
特別扱いされてるんだって、嬉しかった色んな事は
屋上で一人で非行に走ろうとする"生徒"の面倒を見てただけなんだって
なんか…急に感じちゃって。」

先生への恋心はもちろん冷めていないけれど、
卒業しても、結局、先生と生徒なんじゃないか、って。

なんとも、切なさが今は勝ってしまう。

「…」
「だから、こんな時に、告白してくるなんて、ほんと、あんた、空気読めてない。」

今の気持ちを、余すことなく全部吐き出し笑うと、アキラもつられて笑った。

「悪、ぃ。」

夏の夜風が頬を撫でる。

「…そろそろ寮、戻らないと、怒られるね。」
「そ、だな」

すく、とベンチから立ち上がり、アキラと共に寮の方角へ歩く。
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