第3章 寂寥の青と純真の赤
窓の隙間から流れ込む風が心地よい夜。
寮のベッドで、私はゆっくり目をつぶる。
先生が私の事を気に掛けていたのは、この辛辣なキャラのせいで
恋路が上手くいかないだとか、友人関係が上手くいかないだとか
…そういうことで、だったんだろう、って。
(なんとなく、そう感じて。)
思わず教室を飛び出したけど。
多分、それだけじゃない。
『なーんで俺が彼女作らないのか、とか
なーんで俺が、お前にばっか構うのか、とか。
ちょっとは、考えてみてもいんじゃねーの?』
(こんなタイミングで、あんなこと言うのは、ズルイ)
こんなことで、アキラのこと意識するなんて、思ってもみなかった。
入学してすぐに、隣の席だったアキラ。
運動が好きで、快活で、なんとなく似通った雰囲気を感じた彼とは親しくなるのに時間はそうかからなかった。
ずっと友達だと、親友だと思っていたのに。
「う~…」
抱き枕をぎゅっと抱きしめ、顔をうずめる。
先生の事が好きだ。
すきなんだけど。
先生は、想像以上に私の事を生徒としてしか見ていない事を感じて、なんとなくだけど、物凄く、強く感じて。
(想像以上に、きてるな)
目頭が少し熱くなったけれど、ぎゅっと歯を食いしばって。
(想像だけで、予想だけで、こんなに、つらいなんて。)
こうなることを恐れて、卒業してから、先生に、って考えていたのに。
卒業してから、告白する自分が想像できないぐらいに、心が怯えてしまっている。
そんな時だった。