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残酷な世界には

第2章 生き延びなきゃ



「あっ、えっと、…私は。…よろしく」

下を向き、おどおどしながら名前を言う。…人見知りだから仕方ない…なんて思っていると、エレンの斜め後ろにいた少女が一歩前に出た。

「私はミカサ。…ミカサ・アッカーマン。よろしく」

黒髪の、赤いマフラーを巻いた彼女は、一言一言丁寧に言った。
どうすればいいかわからずアルミンに目線を送ると、彼は少し笑って2人の方を見た。

「は僕の幼馴染みなんだ。歳も同じだし、良かったら仲良くしてくれるかな」

「まあいいけど」

「エレンがいいなら」

2人はテンポよく頷いた。
アルミンは1つ息を吐いて私を見る。

「良かった。…あ、この2人も僕の幼馴染みなんだよ。こんなふうに変な2人だけど、よろしくね?」

「え、あ、…うん」

変な人を勧めるってどうかな…なんて思ったが、口には出さないでおく。
そういえばエレンってどこかで聞いた気がする…
目を瞑って記憶を引っ張り出すと、今朝の叫び声を思い出した。

「…あ!エレンって、よく喧嘩してる…」

あんまり良くないことを口にしないようにするあまり、だんだん声が小さくなってしまった。
しかしエレンは気にせずにひとつ瞬きをして口を開いた。

「…知ってんのか、オレを」

「え、あ、その…」

「エレンはよく喧嘩してるから有名だもんね」

不機嫌そうに言うエレンの視線から逃げるようにアルミンを見た。
こうしてアルミンに頼るのは何度目だろうか。心の中で彼に謝っておいた。
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