第2章 生き延びなきゃ
「なあ…お前、外の世界…調査兵団には、興味あるか?」
「え?」
エレンが突然、私の目を見て言ってきたので動揺する。
外の、世界?調査兵団?
地面を見つめ、ぼんやりと考えた。
壁の外なんて、巨人がいっぱいいる。出てしまえばすぐに巨人に食べられて死んでしまうだろう。
そうだ、外になんか行かなくても、ここは平和なんだ…
「…この壁の中もいずれは平和なんかじゃなくなる。実際、壁が壊されて、俺の母さんも食われた」
低い声に、私は目を見開いた。
顔を上げると、エレンが真っ直ぐな目で私に問いかけた。
ーーーーお前は、そうなっても壁の中にいたいと思うか?
「……わからない」
しばらくの間の後、下唇を噛みながら声を震わせて言った。おそらく、3人には弱々しく見えているだろう。
「そうなったって、その時にならないと何もわからない。…自分が、何をしたいのかも…」
昨日の事を思い出して、それで何も出来ない自分に腹が立ち、目頭が熱くなった。慌てて俯くと、アルミンの手が私の頭を撫でた。
「…大丈夫だよ、。僕も何もできなかったんだから」
優しい声がさらに涙腺を緩めさせた。
エレンとミカサは何か言おうと息を吸ったようだが、何も言わずに黙り込んでしまったようだった。
それから巨人への総攻撃でアルミンの祖父が亡くなり、私のお母さんが行方不明になるまで、そう時間はかからなかった。