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ありふれた世界で【東京喰種】

第1章 一人の少女と医者



side 夏菜




店長に頼みに行った翌日、私は朝からあんていくへ出向いていた。いつもなら違う所へ向かうのに今日はあんていくへと向かう──・・・、そんな些細なことでさえいつもの日常が変わった気分だ。まぁ、生活リズムは変わるわけなのだが。


しばらく歩いていると、見覚えのある店と平仮名であんていくと書いてある看板。少し、緊張しながらゆっくりとドアを開ける。

『おはようございます。』

あけると、昨日と何も変わらないいつものあんていく。変わっているのは、人がいて夜とは違い明るいところだろうか。

「あ、お客様。まだお店は始まってないので、後少しお待ち頂けますか?」

すると、スタイルのいい黒髪の美人なお姉さんにそう言われた。

『あの、私今日からここで働かせてもらう者なんですが』

すると、その黒髪のお姉さんは驚いたような顔をして

「あ、貴女が・・・!19歳ってきいてたから、こんな可愛らしいお嬢さんだと思わなくて・・・ごめんなさいね。」

『え、それは私が童顔ってことですか・・・!
私、これでもちゃんと社会人ですよ』

黒髪のお姉さんは私の言葉をきいて一瞬ポカンとして急に笑い出す。
しばらくすると笑いが収まったらしく、目に涙を浮かべその涙を人差し指ですくいながら

「ごめんなさいね、そういえば自己紹介を忘れていたね。私の名前は入見カヤ。これからよろしくね。」

入見さん・・・、その名前に聞き覚えがある。
そして、すぐに誰だか思い出す。
あぁ、あの有名なブラック・ドーベルの首領で黒狗って呼ばれてる人か。

『あ、私の名前は朝霧夏菜です。
あんていくの裏の仕事をやらせてもらってたんですが諸事情がありこの度、表の方で店員として働かせてもらうことになりました。よろしくお願いします。』

「そうだったの、貴方があの・・・。」

『もしかして、私のこと知ってます?』

「えぇ。ちょっとだけね・・・。」

『あぁ・・・、私変にこの世界では目立ってますもんね・・・。』

「けど、そんなこと関係ないわ。私だってあることだし・・・これからもよろしくね。」

『はい。』

そう言って、握手を交わした。


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