第1章 一人の少女と医者
星が綺麗に光る夜の中、あんていくへついた。
しかし、夜ということもあり明かりが灯っていない店に入る。
いつもは、お客さんがいて賑やかな場所だが夜なため誰もいなく静けさが増している。
「おや、珍しいお客さんじゃないか。」
そんな声が急に聞こえ、いつでも殺れるように体勢を整える。
気配は無かったはず・・・などと考えていると急に電気がつく。
今まで暗かったのが一転して部屋に明かりが灯され先程の声の主が姿をあらわす。
『なんだ・・・、店長ですか。』
すぐさま体勢を戻す
気配が道理で感じられない筈だ。
私では、店長の気配なんてまだ読めることなんて出来ないから。
店長は、あんていくの店長であり20区のまとめ役でもある
とても優しく謎は多いが、情報交換や裏の仕事をここでできるのはこの人のおかげだ。
「また、こんな夜中にどうしたんだい?
いつも来る時間じゃないじゃないか」
いつもは情報交換をしに来るだけで、こんな夜中に急に来ることはない。
しかし、今は急をようする。
『実はある事を頼まれまして、しばらくここで・・・店員として働かせて欲しいんです。今まで通り情報交換や裏の仕事はこなします。ですから、どうかお願いします。』
頭を下げる。
ここで働けなければ、彼を見守る事は不可能に近い。
「・・・なにがあるのかは知らないが別に私は構わないよ。」
『ありがとうございます。』
「だが、君的にはかなり忙しい日々になるんじゃないかい?体は壊さないようにね。」
『・・・私の身体なんてものはどうでもいいんです。
ただ、私はあの人の命令に従うだけのモルモットですから。・・・では、いつからこちらに伺えばよろしいですか?短い時間しか入れないと思いますが。』
「・・・・・・。そうだね・・・、じゃあ、明日から入ってもらえるかな?」
『分かりました。・・・夜分遅く失礼しました、明日また伺います。』
朝霧夏菜が去ったあと、1人自分が煎れたコーヒーを飲み、溜め息をつくこの店の店長。
「私はもうちょっとあんていくを頼って欲しいんだけどね・・・。」
その言葉は彼女の元に届かず綺麗な星空の中、ただ無機質に部屋にこだました──・・・。