第1章 一人の少女と医者
そういえばパパが、私に弟を見守ってと言ったけどどうしたらいいのだろう・・・?
確か、彼は今入院中・・・。
しばらくはパパが見守れる。
その後、彼が自分の体の異変に気が付いたら・・・もし自分が喰種になったと気付いたらどこに行くだろう・・・?
考えられるとしたら・・・あんていく、CCG、アオギリ・・・。
CCGは・・・わざわざ喰種である彼が敵の場所に行くわけが無いだろう。
アオギリは、まずその組織の存在自体・・・元一般人の彼が知り得るはずかない。
と、なると・・・あんていくか。
確か、あそこの常連だったらしいし・・・
あんていくにしばらく身を置くか・・・
そうなると、CCGはともかくアオギリにはしばらく行けないなぁ。
そう考えた瞬間、私はある人物に電話をする。
『・・・あ、もしもし。私・・・、朝霧夏菜。』
「あぁ、お前か。珍しい。
何のようだよ?」
いつものようにふてぶてしく対応される
『しばらくそっちに行けないから、その連絡に。』
「はぁ?お前、またなんで急に!?」
『あ、大丈夫だから。情報はいつもの様に定期的に渡すし、その代わり情報はもらうけど。そっちに行けないだけだから。・・・まぁ、“タタラさん”にこれ伝えといて。』
「・・・じゃあ、なんで直接タタラさんに言わねぇんだよ?」
『だって、“アヤト君”のほうが喋りやすいんだもん。』
「・・・、お前またなんでそういう・・・。」
『なに?』
「・・・いや、なんでもねぇよ。
まぁ、タタラさんに伝えとくわ。
・・・せいぜい気をつけろよ、夏菜。」
通話を切られたようで、プープーと言う機械音が鳴る。
『そんな心配されるほど弱くないもん・・・。』
そんなことを一人機械音が聞こえる中呟く・・・。
そんな物思いもすぐにやめ、携帯の電源を切りあんていくへ向かうことにした。