第2章 姉と弟
「・・・そのぐらいにしておきなよ。」
「店長・・・」
「・・・・・・苦しかったろうね」
二人で話し始める店長とトーカちゃん。
すると、彼・・・金木研に店長が話しかける。
トーカちゃんにとっては意外なようで驚き、彼に関しては突然やってきた店長と私の存在にどうしたらいいか悩んでるようだ。
「・・・中へお入り」
「・・・店長ッ!?何で・・・」
「コイツ・・・元は人間なんですよ!?」
「・・・私には"喰種"(仲間)に見えるけどね」
驚くトーカちゃん。
元は人間・・・、そう言われると私も同じ部類に入る。
私が彼と同じタイプだと言えば今は私のことを只の喰種だと思っているトーカちゃんの目から見たら私はどちらの部類に入ってしまうのだろうか。
「・・・"喰種"同士助け合うのが"私たち"(あんていく)の方針だよトーカちゃん?」
「・・・・・・ッ」
すると、扉を開け店の中に入っていく店長の後に続き彼を睨みつけ店に入るトーカちゃん。
彼は何が起きたかわかっていないようだ。
『店の中へどうぞ』
自分が言っていい言葉か分からないがそう言いながら弟である彼に手を差しのべる。
彼が私の弟であることは言った方がいいのだろうか?
今はそんな状況下ではないだろう。
これから、あんていくに来るのなら話す機会はいくらでもある。
「あ、ありがとうございます・・・。」
そう言って私の手を素直に受け取り立ち上がる彼。
そして、彼はおどおどしながら私に続き店の奥まで一緒に歩く。
店長とトーカちゃんは既にそこにいて黒で覆われた冷蔵室へつく。
店長はその中から一つの正方形の物をとりだす。
「困ったらまた来なさい。」
との言葉を添えて。
誰が言わずともその正方形のものが何かとはわかる。
それを彼は先ほどと変わらずおどおどとしながら受け取る。
彼は受け取るものの、元人間で今まで人間の食事を食べていた者がそんな簡単にあれを食べるのだろうか。
もし、彼が飢えで死にそうな状況下になった場合、助けなければいけないのだろうか?
そんなことを考えながら彼が帰っていくのをただ、見ていた。