第2章 姉と弟
上司達と食堂でご飯を食べた日から数週間がたった。
上司達との距離は縮まるものの捜査は一向に進まず難航していた。
そんな私は息抜きも兼ねて美味しい珈琲を飲もうと思い、情報を渡しに行くついでにあんていくへとよった。
「いらっしゃいませ」
『こんばんは。まだ空いてる?』
「あ、夏菜。なんでこんな時間に?まあ、あんたならいいけどさ」
『ありがとう。・・・今日はトーカちゃんだけ?』
「いや、さっきまでは入見さんがいて今は店長もいるけど・・・ここにいるのが私だけじゃ不服なわけ?」
『そうじゃないよ、少し店長に話があったから』
「あ、そ。・・・たまにはこっちにも来なよね・・・!」
そう言いながら外へ出ようとするトーカちゃん。
『何故、外に出るの?』
「扉の前の掃除するから!」
そう言い残し外へ出ていくトーカちゃん。
あんていくの皆さんと会話したし、そろそろ店長と話をしようと思いどこにいるか探そうと思った矢先、奥の部屋から出てきた店長。
「久しぶりだね、夏菜ちゃん。今夜はどんな話をしに来たんだい?」
『情報交換に。・・・というのは建前であんていくの珈琲が飲みたくて。』
「じゃあ、珈琲を淹れるから待ってなさい。・・・と、その前に少し外へ行こうか。」
『え?』
そう言われ、ふと思う。
トーカちゃんの帰りが遅いと、本来なら閉店間際の掃除をするくらいすぐに終わることだ。
店長が扉を開けて外へ出ていく際に一緒に出ていくのだが、しかし何故か店長はトーカちゃんが出ていった扉ではなく違う方の扉から出ていった。
その瞬間見えたのはパーカーを着てうずくまる者に罵声を浴びせるトーカちゃん。
「トーカちゃん。」
そう店長に言われ振り向き顔を上げる二人。
そのフードをかぶったパーカーを着ている者は青年だった。
私はその瞬間その青年に釘付けになった。
その青年の目は私の目と逆の右だけが赫眼であり、そして私がパパから「見守って」と言われた"金木硏"だったからだ。