第2章 姉と弟
「そういえば、さっき話してた夏菜のクインケさばきがすごいって話はどこから?」
「あぁ、それはね・・・朝霧君が梟討伐作戦に参加していてね、若いしそれで注目はされていたんだが何よりあの有馬が認めたことだね。」
「え、あの有馬さんが!?」
「あぁ、しかもかなり朝霧君のことを気にいってるって話も聞いたよ。」
「そうなのか、夏菜!?」
自分の過去の話をされ、更には根拠もないことを聞かれる。
『いえ、気にいられてなどはいませんよ。
ただ、よく合間をぬって指導していただいているだけで・・・。』
「あの有馬さんが指導・・・あまり無いことだぞ・・・!」
『え、そうなのですか?知らなかったです。』
そのような感じで話はどんどんはずみ・・・と言っても二人が喋っている話をずっと聞き、話をふられたら答えるというものであったが・・・そして、そのような事もあり二人との距離が少しばかり縮まった気がした。
『そういえば、今お二人はどの喰種の捜索をしているのですか?これからその捜査に私も加わるでしょうから少し気になりまして・・・。』
「あぁ、そういえば言ってなかったな。今我々が捜査しているのは"フエグチ"という喰種だ。」
『フエグチ・・・、』
「あぁ、男だったんだがどうやら家族がいたようでね・・・、その家族を探しているところなんだ。」
『そうですか、分かりました。その喰種を見つけて排除したらいいんですね。』
「そうだ。早く見つかるといいんだが・・・。」
『そうですね。』
そんな話をしつつ、皆ご飯を食べきりトレーを返す。
そして、明日から私は捜査に加わることが決定しそれまで・・・今日までに書類を仕上げなければいけなくなり徹夜することになった。
何気ない会話。
何気ない日常。
しかしまだ、誰も知らない。
これが私達三人の最後の捜査になり、そして一人の上司が死ぬことも。
そして私は知ることとなる。
親子とはどういうものか・・・。