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ありふれた世界で【東京喰種】

第2章 姉と弟







何故、喰種である私が敵の本拠地で働いているのか。




・・・それはスパイというものだ。
CCGの情報をいち早く入手し味方へ流す、それが私の仕事。

普通の喰種ならすぐにRc検査ゲートに引っかかりすぐに捕まる、もしくはその場で処分だろう。
しかし、私・・・半喰種なら出来るのだ。
本来なら人と喰種の間に産まれた・・・いわゆる隻眼の喰種と言われる者にしか可能ではないが喰種の赫子を入れられた者なら強制的に半喰種になり元人間の喰種の出来上がりだ。

パパによってママの赫子を入れられた元人間の喰種。
そう、つまりそれが私だ。

しかし、いくら元人間といえど前みたいに普通の食事はとれない。簡単に言うならRc検査ゲートは通れる喰種だ。





「お、夏菜じゃないか〜、異動になったんだって?・・・まぁ、惜しいヤツをなくしたよ。あれはお前のせいじゃない。だから、あまり落ち込むなよ?ここではよくあることだ。」

廊下を歩いていると声を掛けられた。
その人は相も変わらずガタイのいい姿で、スーツをしっかり着こなしている。あれは特注で頼んでいるのか?とたまに疑問を感じる。

『あ、"篠原"さん。はい、暫くは真戸さんの所にお世話になるそうです。・・・私もあんな事が起こるなんて思ってもみなくて、』

「夏菜と別行動をとったすぐ後に喰種に襲われるなんてな・・・。確か赫子痕は・・・」

『"鱗赫"です。』

「あぁ、そうだったな。・・・早くその喰種を見つけられるといいんだが。っと、もうこんな時間か。会議があるからそろそろ行くとするよ。夏菜も真戸さんにビシビシ鍛えてもらえよ。」

『はい。』

その後、急ぎ足で会議が行われる部屋へ向かっていった篠原さん。
何も知らない、みんな知らない。




"私がペアだった子を殺したなんて"




あの子には自分が怪我した時、傷が治るのを見られてしまったのだ。いつもなら治っていく所を隠し誤魔化せていたが今回ははっきり見られてしまったのだ。


だから、殺した。


今まで過ごしてきた思い出がよみがえる中、一瞬にして死んでいくペアの子を瞬き一つせず見ていた。



最近のことなのだが今は遠く感じる。
でも今となっては唯の過去だ。




さよなら、ばいばい。





今はもう消えた、殺した子に別れを告げた。





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