第5章 あなたの中の私たち
バタバタと本部の廊下を走り抜ける。
他の兵士たちが何の騒ぎだと私を見るが
そんなこと構っていられない。
『エルヴィン!!どういう事だ!』
勢いよく執務室の扉を開けるとそこには
エルヴィンともに…兵団の団服を着ているハロルド姿。
背中にはちゃんと自由の翼の紋章が輝いている。
『リヴァイ…』
その名を呼べば目の前の彼は振り返る。
私は堪らず拳を握った。
「ハンジ…独断で決めてすまないな。
しばらく調査兵団で過ごしてもらうことにした。」
『…ハロルド…あなたは、わかっているのか?
どれだけ危険なのか!死にたいのか!』
エルヴィンの言葉なんて届いていなかった。
目の前のこの人が…何を思い何を考えて決めたことなのか。
記憶がないリヴァイは…人類最強なんかじゃないんだ。
「…あぁ。だから、ここにいる。」
『記憶が戻る前に死なれたら…困るんだ』
…本当にリヴァイを失ったら私は…どうしたらいい?
「ハンジ…すぐにはハロルドは壁外へは出さない。」
エルヴィンの優しさが混じった声がした。
「まずは…訓練からだな。」
そうウィンクを私へとして笑った。
いつだって、エルヴィンは何を考えているのか解らないが…今ほど理解に苦しむことはなかった。