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薄桜鬼~千鶴と薫の弟君!~

第1章 ~PROLOGUE~


雅紀は、ゆっくりと立ち上がると山南を見下ろした。

雅紀「…千鶴おねぇちゃんのため。土方さんのため。総司や、左之にぃたちや、平隊士のためだよ。」

山南「な、んで…」

雅紀「あんたが、いつまでもこの部屋に、こもってるからだろ。出てきたと思えば、どこか、イライラしてて話かけても、そっけない。」

雅紀「あんたは、自分が、可哀想なんて思ってるようだが、あいつらの方が、一番、可哀想だ。」

山南「仕方ないじゃないですか!」

雅紀「仕方ないだ?」

山南「悪気はないことぐらい、わかっています。でも、この左腕は治るだの、動くようになるだの。もう、うんざりなんです。」

雅紀「そんなの、ただの、八つ当たりだろうが。」

山南「それも、分かっています。しかし、もう、この左腕は治らないのに…どうすれば、いいんですか!!」

山南も、いつもなら考えられないぼど、珍しく叫んでいる。

きっと、今まで溜め込んでいたのが、今、全部出てきているのだろう。

雅紀「そんぐらい、自分で考えやがれ。お前は、新撰組の頭脳だろうが。」

山南「……っ」

雅紀「後、勝手に治らないなんて思い込むんじゃねーよ。」

山南「でも、この腕は…」

雅紀「やっても、みねぇーで、あきらめんじゃねーよ。……………傷が、完全に閉じるまで動かさずに、ジッと安静にしてろ。」

山南「…え?」

雅紀「治る見込みはねぇーが、上手くいけば、動くようにはなる。…やんねーより、ましだがやるかやんねーかは、自分で決めろ。 俺が、一度みてやる。」

山南「…え? みてやるって…」

千鶴「雅紀は、医者を目指しているんです。腕も、父様やそこらの医者より、上だと思います。」

すると、雅紀は襖に手を掛けると山南へと、振り向いた。

雅紀「…話が、戻るが千鶴おねぇちゃんは、今は男装をしてるが、女だ。男子所帯の中で毎日不安で、泣いてるんだ。 そんな中、安心できる居場所が、欲しいに決まってんだろ。そこんとこ、覚えとけ。次、泣かしてみろ。容赦しねぇーぞ。」

そう言って、雅紀は部屋を出て行った。

千鶴も、一礼すると、雅紀の後を追いかけて行った。
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