• テキストサイズ

薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第9章 嵐



「風間、おやめなさい」


 突如、誰かの声が割って入る。姿を見せるは、天霧だった。


「薩摩藩に与する我らが、新選組と戦っても何の意味もないことくらい、百も承知のはず」

「ふん……っ」


 天霧は風間の刀を手にすると、彼へと投げる。それを受け取った風間は、興ざめだと言いたげに刀を鞘に仕舞い土方に背を向けた。


「おい待て、俺にはまだお前に聞いておきたいことがある!」

「……なんだ」


 風間な視線だけ、土方へと向けた。


「蓮水志摩子は、何者だ。お前の、味方なのか」

「……あれは俺のものだ。それ以上も以下もない。あれは何も知らん……俺が為す目的も、何もかもだ。もしあれから俺の情報を得ようとしているのならば、無駄だぞ」

「そうかい……」

「土方、だったな。……志摩子に伝えておけ」


 風間は天霧と共に、この場を去っていく。最後に言葉を残して。


「必ず、迎えに行くと」


 その場に残されたのは、傷を負った千鶴と……。

 ぎゅっと拳を握りしめ、手を震わせている土方だけとなった。


「ふざけんな……」


 その声は、何処か怒りに満ちていた。

/ 359ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp