第39章 燈
「副長も無事此処まで辿り着いたのですね。平助と、山南さんは……?」
「……。山南さんは、俺が来た時には灰になっていた。羅刹部隊がしつこくてな、平助と途中応戦していたが倒しきった時には……平助も。羅刹の寿命ってやつなのだろうな」
「そうですか……」
「総司も、俺を此処にやるために羅刹隊を一人で引き受けやがった。今頃……」
次々と仲間達が倒れていく事実。その場にいた誰もが、どう言葉を紡げばいいかわからなくなる。ふと、千鶴が何かを思い出したように口を開いた。
「父様は! 父様は見ませんでしたか?」
「生憎俺は見てねぇな。斎藤、見たか?」
「いえ、俺が此処に来た時には南雲しかいませんでした」
「斎藤、俺は千鶴を連れてこの城を出るがお前はどうする?」
「俺は……」
そう斎藤が言葉を続けようとした時、部屋の襖が一気に大きな音を立てて斬り裂かれていく。敵か……!? 斎藤と土方が構えると、襖の近くにいた土方が何か長い武器で薙ぎ払われる。凄まじい力だ。
「くっ……!」
「副長!?」
部屋に隅に弾き飛ばされた土方の元へ、千鶴は慌てて駆け寄る。その姿を目で追いながら、斎藤は抜刀し構えると志摩子を背に隠す。
ゆらりと、砂埃の中に薙刀が見えた。
「姉様みっけ」
「天……」
「天!? 総司様の刀で、死んだのでは……っ」
「姉様、変なこと言わないでよね。あの程度で俺が死ぬわけないじゃん? ちょっと突きが甘かったみたいだね。あの人」
天は薙刀を振り回しながら、構え直す。砂埃が消え失せると、同時に天は鬼の姿へと変わっていく。斎藤も嫌な予感を察して、羅刹の姿へと変わる。
「ふぅん、紛い物の力ね。まぁでも……俺に敵うかな!?」
「……蓮水天。お前は俺は、この場で倒すッ」
斎藤は地を蹴った。