第21章 真
「志摩子、大丈夫か?」
「あ……はい。大丈夫、です」
斎藤は安心したように息を吐くと、志摩子の髪に触れる。
「は、一様……?」
「よかった……お前が、此処に居てくれて」
「え……?」
それはどういう意味なのか。問う暇もなく、斎藤は土方の元へと駆け寄る。幸い気を失っているだけらしく、命に別状はなかった。
「あの、一様」
「なんだ?」
「どうして……この場所がわかったのですか? それに、隊服を着ているということはお祭りの警備をしていたのでは」
「そう……だな。なんと答えていいのか、俺にはわからないが。途中で平助達に会った。お前が副長と一緒にいると聞いて、どうしてか……気になって……探していた」
「気になって? 何か気になることでもあったのですか?」
「いや……その。副長と二人で、何を……しているのだろうと」
「……歳三様に、御用事でも?」
「ああ、いや……そうでは……ないのだが」
斎藤は返答に困りながら、視線を斜め下へと向ける。志摩子はまったく意味がわからないという顔で、首を傾げた。
「お前と……花火が、見たいと……思って」
「花火?」
「あ、ああ……。とても綺麗だから、お前に見せてやりたいと」
「それなら平助様と見ましたよ。全部ではありませんが」
「そ、そうか……」
心なしか肩を落としているように見える斎藤に、志摩子はますます首を傾げるだけだった。