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薄桜鬼 蓮ノ花嫁

第21章 真



「風間の元へいつか行っちまうなら、別に医学を学ぶ必要なんてこれっぽっちもないはずだ! 俺達のことなんて見捨てちまえばいい、何度怪我をして戻って来ようと放っておけばいい。なのに隊士達の手当てをするのは何故だ? 体調の悪い総司の面倒を甲斐甲斐しく看てやってるのは何故だ!?」

「私が長く此処に居続けるための、建前に過ぎません! 必要な人材であれば、私を皆様は置いて下さるでしょう!?」

「そのために毎夜眠るのも惜しんで勉強していたっていうのか?」

「……なっ」

「俺は副長だぞ? 屯所内のことは、だいたい把握してるもんだ。お前が必死に勉強していたのは、心の底から俺達の役に立ちたいと望んだからじゃないのか?」

「そ……れは」


 土方は後ろから志摩子を抱きしめた。身体を捻り、抜け出そうともがく志摩子を強く抱きしめて阻止する。どんなに必死になろうとも、志摩子が彼の腕から抜け出すことは出来なかった。


「離して下さいっ!」

「離さねぇよ! 俺は……離さない。俺は決めたんだ……お前が望んでくれなくとも、新選組が……いや、俺がお前をどんな奴からも守ってやる。そう決めたんだ」

「勝手すぎます……っ! 歳三様は、横暴です! 身勝手です!!」

「俺が嫌いでも構わない。だけどな……お前が新選組に居たいと望むなら、俺はそれを許可する。副長命令だ」

「馬鹿……じゃないですかっ」

「知ってたか? 男ってのはな……馬鹿な生き物なんだよ」


 志摩子はようやく動きを止めると、一層肩を震わせて涙交じりの声で言葉を紡ぐ。

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