第31章 尾行と捕獲と旅団本拠地
ブロロロロ……
「…………」
「…………」
あれから車に揺られること数十分。
長い沈黙のなか、外の景色は華やかな街から廃墟だらけの荒れ地に変わった。
そして現在もフェイタンは私の隣に座ったまま。
もちろん左腕はガッチリ掴まれて。
…………うわぁ、すごい気まずい。
できれば早く本拠地とやらについてほしいんですけど!
「あ、あのぉ…本拠地ってまだ先ですか?」
「ん?あと少しで着くと思うが………何だ?便所か?」
「ちょっとノブナガ、女子に便所なんて言うもんじゃないわよ。お手洗いって言いなさい」
「そんなもんにこだわるなよパク、小便でいいだろ小便で」
「きったないねあんた達!普通にトイレって言いなよ!」
「いや違うねコイツきとウ○コね」
「別に私は便意があってたずねたんじゃないんですけど!!」
なんで私がトイレに行きたいの前提で話すんだよこの集団は!
あ、そういえば話変わるけど私ここにいる団員の名前覚えたんだよ。
最初話しかけてた長髪男がノブナガ、眉なし男がフィンクス、ナイスバディなお姉さんがパクノダ。
すごくね?
会話聞いてただけで覚えたんだよ?すごくね?
「まぁ、本当にあと少しだから我慢してくれや嬢ちゃん」
「……はい」
なんかトイレのくだりでずいぶん車内の空気変わったな。
そんなことを考えていると、左から腕をくいくいと引っ張られる。
うわ、フェイタン。
無視すると怖そうだから顔だけ向けると何かを差し出してきた。
え、てかコレって……
私のスマホじゃん。
「ワタシの連絡先登録しといたよ、感謝するね」
「ノォォォ!!」
感謝も何もコイツいつのまにちゃっかりと私のスマホ盗んでんの!!
むしろその盗みグセをもっと別に生かせよ!
「さ、削除…」
「殺す」
「わーいフェイタンの連絡先〜」
「あんた目が死んでるよ」
そりゃ死ぬわこんな厄日!!
「お熱だなぁフェイタン」
「うるさいね」