第1章 ……
「ごめん。俺、隠してることがある。」
「わかってる。私、それが二番目に悲しいことなのよ。」
「うん、ごめん。
俺、マユミさんの、大好きだったひと、
マサトの、弟なんだ。」
なんでか、自然とおどろかなかった。
「そう…なのね。」
案外傷つきもしなかった。
「やっぱり、私はマサトを追ってたのね。」
でも、私は、気付いてた。
ヒロトへのこの気持ち。久しぶりな気持ち。
「でも、ヒロト。」
「ん?」
「今は、私、きっとヒロトが好きなのよ。」
「わかってるよ。俺もマユミさんのことずっと好きだった。
兄貴よりも、だから、あのときふったんだって知ったとき、ムカついた。俺なら気づいてあげれるのにって、影からしか見れなかったけど、
マユミさん、誰よりも純粋だから。」
「ヒロト………。」
「ごめん。ずっと黙ってて。
好きだったんだ。ずっと、ずっと。」
泣きそうな声でヒロトは囁く。