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虎と狩人

第5章 4日目




「じゃあいってきます」

「留守を頼むぞ」

「はいはい、気をつけてね」

今日は約束通り幸村が共に猟の修行に付き合ってくれるのだ。
これを期に沢山話が出来たらいいんだけど。




「ど、どうですかね」

「はいっ見事なものでしたぞ!」

昨日佐助に教えてもらっただけある。飲み込みが早いと褒められたが、まさか翌日になってもちゃんとできるなど思ってもいなかった。

「もう日は高いですし、休憩に致しましょうぞ」

「そうですね」

木陰にあった岩の上に座り、膝の上で昼飯として先ほど焼き上げた鳥肉を広げる。

「...あ、幸村」

「はい?」

名前を呼ばれたことが嬉しかったのか尻尾をゆらゆら揺らして肉を頬張りながらこちらを見る。

「幸村達って何歳何ですか?」

「何歳...?」

もしかしたら歳をとるという概念がないのではないか。人間には1年という周期があって生まれてからソレが経つと自然とひとつずつ歳を重ねていく。
自然を生き抜くものたちにはそんなことを考えている暇はないのかもしれない。

「...生まれてから、どれくらいの月日が経っているとか」

「そうですな...ん、もう、わかりませぬ」

肉を食べ終えた幸村は、近くにある川で手を洗ってからぴっぴっと水を払って私の横にまた座った。

「某ら動物は人間よりも早く成長して死にますので、あまり考えた事がありませぬ」

「そ、なんですか」

言われてみれば確かに私より遅くうまれた飼っていた烏でさえ、とてもはやくに老いて死んでしまった。
ということは幸村達も直ぐに死んでしまうのではないか。
とたんに不安になる。

「見た目じゃ、まだ17歳くらいですかね」

「それは、どれだけの月日を言うのでござろう?」

「う、ううんと...17年だから...あ、あの小さな木。あれがまだ新芽だったころですかね」

私は幹がしっかりし始めているであろう木を指さしてみた。
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