第7章 * "Great King"
何たる不覚…!
体育館の場所くらい、しっかり把握しておくべきだった。
これじゃあ完全に迷子じゃん……どうしよう………
「……綾乃ちゃ〜んっ」
「フェイ!?」
体育館へ向かうべくキョロキョロと手掛かりを探していると、急に頭に手を置かれた。
なんだか嫌な予感がして振り向けば、案の定そこには及川さんが微笑みながら立っていた。
「もしかして、体育館の場所がわからなくて困ってる?」
「う"っ……」
…図星だ。
「俺も今から行くとこだったから、案内してあげる!」
「っ、いいんですか!?」
「もっちろん!さ、こっちだよ〜」
「え、ちょ、手……っ!?」
上機嫌に私の手を握り歩き出す及川さん。
私ももう高校生だし、手なんか繋がなくても迷子にはならない。そう断っても、及川さんが手を離してくれることはなかった。