• テキストサイズ

【ガイ】あの日のキミは【NARUTO】

第3章 ++いつもオレに幸せをくれていた++


オレはと言えば、話について行けずわなわなと手を震わせるだけで。

「あなた」

アレスはそんな情けないオレの手を取り、しっかりと握り締めて穏やかに微笑んだ。

「元気な子を産めるように、頑張るからね」
「あ…う…」

既に母親の笑顔になっているアレスの顔を見て、何故か自分の幼少期が走馬灯のように駆け抜けた。

大好きだった父と母。
オレもようやく、命を紡ぐ側になったのだ。
オレは尊敬する父のような、子に恥じない親になれるのだろうか。

「ガイ先生、アレスさんに何か言ってあげないと!」

あまりの衝撃に、言葉を失ってしまったオレの背をリーが押す。

「あ…その、だな…」

遠慮がちにアレスの腹を撫でる。

「ここに…居るんだな?」
「そうよ。ガイと私の子よ」

お互いの血を分ける確かな“繋がり”がアレスの胎内に芽吹いた事は、とても不思議でまだ実感がなく、しかし魂が歓喜して体を熱くさせた。

「うぉぉおおお…っ」

涙が頬を伝わり、震える唇はただの音を口から零すだけ。こんなに熱い涙を零したのは、いつ以来だろう。感動して言葉にならない。

「ガイったら、産まれる前からそんなに泣いて」

つられたように涙を浮かべるアレスを、オレは強く強く抱き締めたのだった。


──今日と言う日を忘れないように。

彼女の存在で得られる幸せを一生忘れないように。


オレはアレスの腹を撫でながら、ありがとうありがとうと囁くのであった。
/ 31ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp