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言われてみれば、単純で。 after

第2章 名前


暇だなあ。なんて思って横を見るとキョーちゃんは読書中。
俺の様子なんて気にしないで本を読んでいるものだから少し悪戯をしてみる。

髪を引っ張ってみたり、頬を指で押してみたり。
キョーちゃんは首を振って嫌がる素振りをしながらも読書に夢中。

それがとても面白くて、悪戯が加速する。

「丹羽先輩! 邪魔です。なんですか?」

「暇」

「私は忙しいんです。丹羽先輩も本でも読んでればいいじゃないですか」

「ねえ、キョーちゃん、俺はいつまで丹羽先輩なの?」

「は? 丹羽先輩は丹羽先輩じゃないですか」

「そういう意味じゃなくて」

キョーちゃんの頬っぺたを引っ張ると意外と伸びなかった。
ぷにぷにしてて伸びそうなのに。

「はいはい。もう、本読むのはやめますから」

「キョーちゃん優しいね」

「丹羽先輩が鬱陶しいからです」

彼女は読んでいた本にブックマーカーを挟み、目の前のローテーブルに置いた。
俺が俺の隣、ソファの空いた部分をとんとん叩くと其処に座る。

「はい、座りました。で、なんですか? 丹羽先輩」

「また丹羽先輩って言った」

「わかってますよ。
 もし、私が丹羽になったらイツキって呼んであげます。
 ややこしいですから」

「なにそれ」

「嫌ですか?
 じゃあ、丹羽先輩。藤崎イツキになります?」

「そういう問題じゃないんだけど。プロポーズ?」

「私は藤崎を捨てる覚悟は疾うに出来てます」

「俺待ち?」

「待ってませんよ別に。
 言ったじゃないですか。先輩の人生の半分は貰いますって」

「言ってたね」

「冗談じゃないですから」

彼女はそう笑って俺の肩に頭を預けた。
人の体温ってこんな風にでも伝わるんだな。
キョーちゃんの髪が頬に当たってくすぐったいけどそれが心地よくて彼女を抱き寄せた。


半分? もっとでしょ。
15のときから捧げてますよ、君だけに。
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