第4章 幸せな二人
貴方はもういない
貴方が居なくなってからも心のどこかで思ってた
いつか、昔のような穏やかな日常が戻ってくるのではと
でも、もう貴方は隣にいない
結局あれから会うことは叶わなかった
正直な気持ちを言ってしまえば、会いたくて仕方がなかったが、里を守るため一族を滅ぼし抜忍となり、尚も里のためと暁に潜入しスパイとなっていた彼に会うことなど簡単ではない
しかし、今となってみれば様々なリスクを犯してでも、会っておくべきだったのではないだろうか
会っていれば未来は変わっていただろうか
いや、結末は何も変わらなかったかもしれないが
それでもただ会いたかった、彼に
本当に今となっては後の祭り、後悔してもしきれない、
でも何故か、涙は出なかった
彼の死を知らされてから日は経ったが
亡骸も無く、死に様すら知らされず、情報は忍の報告『暁壊滅』
暁壊滅=彼の死
全く実感がわかなかった、彼とはあれ以来会うことはなかったし、それからずっと空いたままだった私の隣は今も空いたまま、まるで彼の帰りを待っているかのよう
あの頃の彼の定位置が、また彼で埋まることはもう絶対にないのだけれど、
待っていたい、これからもずっと
バカみたいだ、
こんなに後悔するくらいなら、
『…っう…っん゛…』
あぁ、涙、でたんだ
今にも零れそうな涙と漏れそうになる嗚咽を堪え、人のいない場所へ
喉が熱い、唇が震える
もう限界
人気のない他よりも高い建物の屋根へと飛んだ、そこに着いたときにはもう、涙は止めどなく流れていた
『…っう……っは…』
独りで泣くのはいつ以来だろう
私が辛いときは彼がいつも傍にいたから