第1章 幸せ
「あと少しなんだ。」
腕の中の彼女を見つめて、僕は言った。
「もうすぐで、僕と、そして秀吉の夢は、叶うよ。」
「半兵衛様…。」
僕の胸元に顔を埋めた彼女の温かい吐息が、服越しに伝わってくる。
「半兵衛様。
お二人の夢が叶ったら…」
「うん?なんだい?」
「もう少し、私と一緒にいて頂ける時間が増えますか?」
それはあまりに慎ましく、それでいて彼女の1番の願いに違いなかった。
それもそうだ。
奥州、四国、安芸、小田原…
僕は彼女を放っておいて、色々なところを飛び回っていたのだから。
「そうだね。
そうしたら、嫌になるくらい一緒にいてあげよう。」
そう言って彼女の髪に口付けると、彼女は嬉しそうに笑った。
思わずそのまま押し倒してしまいたい衝動に襲われたけど、まだダメだ。
「明日は…九州だ。
そうすれば、日の本は、統一されるよ。」
明日までは。
明後日、ここに帰ってきたら、いっぱい彼女に口付けて、抱いてあげよう。
まだ、気を抜いてはいけない。
「明日に備えて、今日はもう寝よう。
君も、明日に響いてしまう。」
僕は彼女を部屋に送って、そのまますぐに寝た。