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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第10章 【赤葦京治】温もり


顔は赤くなってはいないだろうか。そして、鼻血のことはバレてはいないだろうか。こんな所好きな人に見られたら……終わる。
きっと「女子力なさすぎ」とか言われるにきまってる。
まぁ、実際にはそこまで無いけど、でも作り上げてきたイメージが鼻血ごときで崩れるのは絶対に嫌だ。


そんな葛藤を自分の中で繰り広げるがある異変に気付いた。赤葦が話し掛けてこない。疑問に思っているのなら少なからずは聞かれると思ったのに。彼の方へちらっと視線を向けるとさっきよりかなり距離が縮んでいる。


そう、彼は私の目の前に立っているのだ。あと数センチでぶつかってしまいそうな距離。微小に上を向くと下を向いている彼と目があてしまった。
私の頬の熱は一気に上昇し、多分顔は林檎のように紅潮しているだろう。吃驚した私は急いで彼と距離を取る。心臓の鼓動がうるさい。

「な、なななななんで、こんな近くまで来るのよ!!」
「何でって名前を読んでも返事しないし、気づかないからだけど、」
「え、呼んでたの?」
「呼んだ。……そんなことより、鼻、どうしたの?さっきから隠してるけど。しかも鼻声」
「いや、何でも無いよ!!」
「嘘だ。言わないと手、無理矢理でもどかすから」

そう言ってどんどん開いた距離を詰めてくる赤葦。どうやら本気のようだ。流石にこんなひどい顔は……。観念して言うしか選択肢はないようだ。

「わかったよ、別に大したことじゃないけどさ」
「早く言って」
「ハイハイ、ボールが顔面にあたって鼻血がドバッと出てきました」
「鼻血!!ボールは誰の……。」
「木兎さんの強烈なスパイクぅーです」


そういった瞬間赤葦は顔を歪めて
「うわ、痛そう、大丈夫?」と呟いた。
それを聴い私は元気に「大丈夫だよ、私頑丈だし!早く部活に戻ろ!!」なんてニコッとお得意の笑顔で返事を返す。心配なんてこれっぽっちでかかれてたまるか。

そんなことを考えながら体育館の方向へ歩き出そうとした刹那腕に強い圧迫感を感じた。振り向けば赤葦は青筋を立て私を睨んでいた。

「体育館じゃなくて、まずは保健室行こう」
「えっでも部活は……」
「はぁ……お前少しは自分の事を大切にしろよ。傷とも残ったらどうすんの。それに綺麗な顔に傷がつくとこなんて見たくない」
「ぇ......」
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