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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第8章 【日向翔陽】天才と太陽



「よっしゃぁ!!すげぇー!!!!」
「はぁ、別にいつもどおり上げただけだけど」
「なんか、影山見てぇ、凄え打ちやすい」
「影山みたいってどう言う事、嫌味?」
「ちげぇーよ!!、ただ"天才"だな。って思っただけ」


はその言葉を聞いた瞬間、ピクッと体を微かに揺らして反応した。

「どうした?」

彼の言葉には全く応答せず、彼女は俯き何か考えこんでいる様だった。



天才か。何とも悲惨な言葉なのだろう。通常の人々はそう呼ばれるだけで歓喜に溢れるのだろう。でも、私は……天才なんかじゃない。そう心底思うとあの時の記憶が鮮明に想いだされた。
もう、嫌だ。


「ゴメン、ヤッパリ戻るは」
「え、何で?!?!、体調悪いの?」
「そんな別に、大した事ないよ。ちょっと昔のこと思い出しただけ。気にしないで」
「でも、」
「良いでしょ、別に。アンタには関係無いんだから」


先程よりも強く強く冷たい言葉を吐く。彼に突きつけるように。コレで一人になれるそう思っていた。


「関係無く……ナイ」
え?
「関係無いでしょ、あんたは赤の他人なんだから私の事に付いて口を挟む権利はない」
「……」


返す言葉がなくなったのか黙りこむ彼。
こんな事を言いたかった訳じゃ無い。思ってもない言葉が口から出てしまった。
嗚呼、また人を傷つけてしまった。そう思うと心臓のあたりが締め付けられる感じに陥った。苦しい、助けて



「他人なんて言うなよ。に昔何があったか知らないけど力になれない?」
「ほっといてよ」
「ほっとける訳、無いじゃん。目の前で苦しんでる奴がいるのにさ、」


「話してみろよ、俺達友達だろ!」


そう言って手を差し伸べる彼。太陽のように眩しい笑顔で私を見つめる。私はそんな目で見られるほど綺麗じゃない。何で、何でなの?何で私なんかに構うの?あんな言い方をして傷つかない筈がない。「友達」?その言葉は本当に信じていいのですか。前みたいに裏切られない?



「信じていいの」



不意に口から溢れでた言葉。か細い声。声が喉に引っかかり上手く出てこない。心なしか手も震えている。それを抑える為に力強く手を握った。私って……こんなに弱かったっけ?悔しい。変わろうと決めたのに。それに対して日向は強いな。どんなに突き放しても諦めてくれなかった。
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