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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第8章 【日向翔陽】天才と太陽


消え入りそうな声で礼を言った。単細胞の癖に余計なこと考えて。お人好しだな。後ろを振り向き倉庫へ向かう。ボールくらいは自分で出すんだから。

ボールを倉庫からだし、ネットを組み立てようと思ったが女子一人で重い道具を運ぶの少し至難である。流石にここは手伝った貰わなければならないな。
体育館を犬のように吠えながら走り回る日向に大声で声をかける。我ながらでかい声だな。これが届いてくれたのか「大丈夫?!」とまた近所迷惑になる声を出してこちらへ寄ってくる

その声で先輩にばれたら嫌だからやめてよ…。

とは言えず仕方なく諦めて来た彼にネットをもたせた。

「ねぇ、日向」
「何?」
「声おおきいからボリューム下げて、周りに迷惑だよ」

私にもね。

「あ、はい!!」

いきなり止まったかと思うと大声で返される。明るく元気なのはいいけど、いい加減にやめて欲しい。それともコレが彼なりの普通なのだろうか。呆然としながら考えるが、何か思いつくはずもなく思考をストップした。考えても無駄でしょ。そんな私をソワソワしながら心配そうに見る彼。
 

「大丈夫?」
「は?いや、何でまたいきなり」
「だってなんかめっちゃ機嫌悪そう。影山みたいにめっちゃ眉間にシワが寄ってるぞ」
「あっそ」

それはお前のせいだっツーの。
怒りを括りながら準備体操をする。しかし影でさり気無くボールにヤツあたりするのだ。



「トーストース」


準備が終わればトスコールが始まる。意味がわからん。取り敢えず彼にどのタイミングがいいか聞いてみることにした。


「ファーストテンポがいい?それもとセカンドかサード?」
「んー……じゃあファーストで!!」
「はぁ、はい。行くよ」
「おう」


そう彼が言った刹那、空気が張り詰めたような気がした。何とも鋭い。こちらまで緊張してしまうではないか。彼に負けないように私も集中量を最大限に高めよう。


助走を始めネットの近くに来ると飛び上がる。それに合わせ日向の手をめがけて軽い山なりのトスを上げた。ボールは弧を描きながら彼の手に吸い込まれていく。彼がスパイクを決めるとボールの音が体育館いっぱいに響かせた。

凄い。ネットから顔が超えた。まるで鳥が羽撃くような感じに飛んだ。私より小さいその身長で一体どのくらい飛んでいるんだ。噂には聞いていたけど間近で見ると身震いするほど恐ろしく感じる。
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