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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第4章 【及川徹】花


俺と一緒に居過ぎたら取り巻きの子にいじめられるかもしれない。
そうならない為に二人でいることを極力避けてきた、昔から。互いを思って。しかしこれは、はたして恋人と言えるのだろうか。
コレじゃ普段は他人に近くなる。このままでいいのか。と話し合おう。そんな考えが俺の中で渦巻く。


それよりプレゼント渡さなきゃ。折角買ってきたんだから。さっき寄りかかっていた棚に、振り返り、其処に置いてあった花をとった。


「はい、コレ….プレゼント」
「今年は花なんだね、綺麗」
「その花、スターチスって言うんだ」
「スターチス? 」
「そ。付いてるカード読んでみな、」
「あ、うん。えっと……変わらぬ誓い、永遠に変わらない心、….これってどう言う、」
「あのさ、俺。この関係やめたいんだ」
「え……?、何、いきなり」


カードに向けられていた視線が及川にうつった。急に顔があがったと思えば目にはうっすら涙膜がはっている。彼女はなにか誤解をしてない?焦っている及川を前に彼女は背を向け口を開く。


「私達もう、終わりなんだね。この6年間、すっごく楽しかったよ、いままであり__」
「違う」

及川の声がの声を遮った。

「誤解するような言い方してごめん、俺は別れたいとか微塵も思ってないからね」
「じゃあ、何で、やめたいって」
「俺達さ、今まで他人のように振る舞ってきたよね」
「うん、」
「それをさ、やめようって言ってるんだ」
「え、でも、それじゃあ徹が?!」
「の方が大変なのに何言ってるの!!」


が振り向いた瞬間、及川は彼女を、ぎゅっと強く抱き締めた。華奢な体は微かに震えていた。目は微かに赤みがあり大粒の涙が零れだしている。それは、及川のユニホームを濡らすほどだった。おち着かせる為に彼の右手は彼女の背中をさすっていた。
あーあ、彼女を泣かせちゃうなんて。


「ねぇ、もっと頼れよ。俺だって、彼氏なんだからさ」
「彼氏……だから、だよ」
「え?」
「彼氏に迷惑かけたくない、私のせいで部活一生懸命頑張ってるの邪魔したくないし、それで嫌われたら嫌だ」

「だって、徹はモテるから、私なんて飽きたら捨てられるかなって、本当に他人になっちゃうかもしれないって思って不安で」







  


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