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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第3章 【岩泉一】優しい彼


「重い、もう少し痩せろ」
「ひ、ひどい……コレでもダイエットしてるのに」
「冗談だ、重くもねぇけど、軽くもねぇ」
「そこは、軽すぎだ!!もっと食え!!とでもいってよ岩ちゃん」
「じゃあ、もっと食え」
「やだ、太るから」
「どっちなんだよ!!」


こんな他愛もない話をしながら教室へと向かっていた。
やっぱり岩泉は男子なだけあって歩くのが早い。当然、おぶられてる側は揺れてる訳で。高くて怖い。落ちそうになり彼にしがみ付けば怒らないで「大丈夫か?」と声を掛てくれる。
いつもより優しくて、不覚にも格好良いと思ったことは内緒にしておこう。


ざわざわと周りが五月蝿くなってきたと感じ辺りを見回せばいつもの3年の教室がある階。人が増えて来て徐々に注目されるようになる。
だって男子が女子をおぶってるとか言うシチュエーションなんてなかなか無いのだから。
視線に耐え切れず脳内は真っ白。捕まることを忘れ放心状態。そんな中、岩泉は聞き込みを始める。


「おい、及川見なかったか?」
「んー……さっき花巻君と歩いてるの見ましたよ!」
「花巻とか、ありがとな」
「いえいえ!」


二人が会話している時、正気に戻った私が見たのは、礼儀正しそうな女の子がそそくさと教室に戻る後ろ姿。それから「私、岩泉君と話せた!!」などと声がして来た。及川が目立つからかもしれないが、岩泉も一部では意外と人気がある。その人におぶられてる私って一体。


「それにしても及川が花巻と一緒にいるとか」
「昼休みは女子と一緒にお弁当食べてそうなのにね、」
「だな、じゃあ花巻のとこにでも行くか、どうせ教室にいんだろ」
「うん、、え?このまま教室に行くの?」
「ああ、何かあるのか……?」
「いや、なんでも」
「そうか」



花巻を探す為、3組へと向かう。このまま教室に入るなんて茶化されるだけだよ。目の前のチクチク頭をじっと睨みながら、今すぐにでも降ろせと念をおくって見るが通じるわけがなく目的地についてしまった。
羞恥心を捨てられずにいる私にとってココは地獄のような場所。どう足掻いても逃げられない。と言うより足掻こうともしてない。

「失礼しまーす」と岩泉の声が聴こえたかと思えばほぼ同時に後から「岩泉とじゃん、」と花巻の声が聴こえた。


「二人共、、ここでなにしてんの?」
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