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【ハイキュー短編集】俺達はまだ若い

第3章 【岩泉一】優しい彼


チャイムがなると一斉にざわざわ騒ぎ出す教室。授業の圧力から開放されて出てくる人々。
今は休み時間。体を休める有意義な時間




だが私達は違った。ぜぇはぁ、ぜぇはぁ、呼吸をしつつ、「及川ー!!!」と叫びながら彼の背中を追いかけていた。幼馴染の岩泉と一緒に。

生憎運動神経がいいとは言えないが、体力だけには自身があった。が、幾度追い掛けても一向に捕まる気配は無い。重い足を一生懸命前へ前へ運び、周囲に目をやりながら探す。
及川は身長大きいくせになかなか見つからないな。逃げ足早すぎでしょ。



「おい!!探すより及川ファンに聞くほうが早いんじゃないか?
それにファンならら居場所ぐらい知ってそうだしよ、」


急に足を止めたかと思うと、いきなり意見を述べ始めた。あの岩泉が意見を出すなんて。いつも力任せだから少し感動。話された事も納得出来た。あの人、顔は無駄にイケメンだから。
岩泉の顔を覗いてみるといつも以上に眉間にしわが寄っている。言いたくなかったんだね。


「でも、誰に聞くの?」
「……及川のファンなんてそこら辺にいんだろ」
「それもそうだね」


今は人通りの少ない通路にいるため、女子が見あたらない。教室までは距離がある為、至急戻ならければならなかった。

正直、階段を上り降りしてた足は限界。階段を降りる時捻ってしまったため腫れ、まともに動かなくなっていた。呼吸も辛く、上手くに酸素を取り込めない。
さて、どうしようか。先に行っててもらおっかな。
声を掛けようと思い岩泉の方を見れば当の本人はしゃがんでいた。何なんだ。一体。



「ん、」
「何、どうしたの?」
「見ればわかるだろ、おぶってやるって言ってんだよ!!もう走れないだろ」
「大げさだなー岩ちゃんは、大丈夫だよ!!
別に、疲れただけだし」
「足、捻ってるのにか?」
「何故わかった……」
「勘だ、勘。それより早く乗れ、休み時間終わるぞ
「はーい」


よいしょっと乗れば軽々とおぶってくれる岩泉。それによって見覚えのある景色も何だか違って見える。
彼の背中は私とは比べ物にならない程広く、逞しい。こんな大きな背中を見ていると自分はとてもちっぽけに思えてきた。
行為自体は恥ずかしいけど、安心感がありとても落ち着く。
そんな事を思っていると不意打ちである言葉が耳に入って来た。
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