第3章 この気持ち。
驚きで停止しそうな心臓を、必死に動かしながら、窓を開ける。
「落とし物。」
「、、、え?」
思わず、聞き返してしまった。
窓を開けてあげて、第一声が「落とし物」って、意味不明なんですけど。
戸惑っている私をよそに、そいつは白いフワフワの何かを渡してきた。
見覚えのあるそれは、私のスクバについていた、兎のマスコットだった。
「転んだ時、落としてた。 拾ってやったんだから、感謝しろよ。」
ぶっきらぼうな言い方。
でもあの時助けてもらったんだから、文句は言えない。
「あり、、、がとう。 でもなんで、こんなマスコット拾ってくれたの?」
すごく不思議。どこからどう見ても、ボロイ兎なのに、、、。
「人形の足の裏に名前書いてあっただろ、、、だから大事な物かと思って。」
そういえば中一の時、落としたら嫌だからマジックで名前書いてたっけ、、、
そんな思い出に浸ってたら、何だか幽霊がニヤニヤしていた。
幽霊といっても所詮人間。
女子の部屋を見てなに妄想してんだコイツ、、、。
必死に笑いこらえてるのが、余計キモイ。
最初、少しカッコイイって思った自分が恥ずかしい。
「ぷぷっ、、、名前負け、、、ぷっ」
突然、笑い混じりでそいつは言った。
「名前負け、、、?」
「そう。名前、蛍とか、、、全然おしとやかじゃねーし ぷぷっ」
この名前を馬鹿にするとは、いい度胸じゃないかクソ幽霊。
今日こそあの日のうさ晴らしをしてやる。
そう思いながら、私は拳を固めた。