第1章 平凡腐女子ですよ
一歩手前という事は、まだ異世界には行けてないのか…
こう、ホイっと異世界に連れていかれたとかならよかったのに…なまじ戻れるかもしれないと思うと…
「え、じゃあ一回家に戻ったりできます?」
心の準備はしたいじゃない?…それに帰れなかった時の為に恥ずかしい物の証拠隠滅とか…ね。
ーーー1回戻る、という事はこちら側にまた来ようと意思はあるのだな?ーーー
え、だって面白そうだし…なんて言ったて異世界とか小説読みまくってた好物だしね。
「会社とか色々あるので、このまま帰れなくなると都合が悪いから、一度戻りたいだけです」
まともな理由を言ってみたけど、内心は部屋に散乱している、怪しい本の処分がしたいとか…邪な心しかありません。
ーーー目的があって、お前を呼んだのだ。目的を終えれば帰る事ができる。それも今と変わらぬ時間.容姿のままでなーーー
帰れるならよかった…と思う反面
それは、簡単に言うと今は引き帰させてもらえないという事ですかね?遠回しな言い方は辞めていただきたい…
それに、今は仕事着と財布と鞄しか持っていない…丸腰も良いところだ。
暫く返事をせず、考えをまとめていると痺れを切らした向こうが声をかけてきた。
ーーーお前には無理に異世界に来て貰うのだから、恩恵もつけようーーー
ん?恩恵??
それは、都合の良いように考えてもいいですかね?!
ーーああ、都合のいいように考えてくれていぞ。思うがままの願いを五つ言うと良いーー
「ん?あー…、出来れば心を読んで欲しくないのですが…」
ーー…すまない、無粋な真似をしたなーー
「いや、もう読まないで居てくれるなら気にしません…邪な心だらけなので…」
ーーああ、少し読んだ時にお前の趣向は把握したーー
「!?」
隠れオタクで、隠れ腐女子な私には耐えられない発言をこの方はしましたか!?
把握しないでほしかった…あぁ…無いわー
ーーー…勝手に読み取ってすまない…ただ願いを聞くにはその方が早いかと思ってだな…ーー
余りにも落ち込んだ様子の私に気遣ってか謝る相手に、偏見とかはないみたいでよかったと安堵する。これで、蔑むような言葉をかけられたら泣いちゃう所だったよ。
「ちなみに、今はもう心…読んでないですよね?」
ーーもう、していない。心配するな、今後しないよう気をつけるーー