第1章 平凡腐女子ですよ
「誰か居るんですかー?」
恐る恐る話しかける私に何も見えない白い空間が喋りかけてきた。
ーーまぁ、お前の場所には居ないが我からはお前が見えてるぞーー
何それ、ずるい。
高みの見物ですか、え?
「じゃ、こっちきて…とりあえず人と話したいです…名前はなんて言うのですか?」
ーー名はないな、呼ばれた事がないので申し訳ない。好きなように呼ぶといい。それと、そちらには行けないなーー
名前が無いですと?
なんて可哀想な人なのか、それとも定番の神様なのかい?
聞きたいけど、神様だったら厄介そうな話を持ちかけられるのが定番だからなぁ…そっとしておくとしよう。
「わかりました、こっちに来れない理由は聞いても大丈夫です?」
当たり障りなく聞くのがいいかな…うん。
ーーなんだ、名付けてはくれぬのか。理由は、そちらは我の領域ではないからだーーー
つまらなさそうに言う〝予想神様〟は説明に取りかかった様で
あ…電波な話になりそうな予感。
と、内心耳を塞ぎたくなった。
ーーお前がいた世界と、我の世界との狭間になる場所にお前は今いるーー
難しい話は嫌いじゃないけど、宇宙規模な話は理解しがたい…
「か、簡単に言うと?」
ーーお前の世界でいう、異世界への入口一歩手前的な所だーーー
厄介な場所には変わりないのね。