第2章 イベント当日
「ね、君達聞いてもいいですか?」
と、人波をかき分けて近付いて来るきっくんに目が合ってるんだから私達の事だよねっとアイコンタクトをとろうと美優の顔を見ると
コクン…っと頷いた。
嘘…会えるだけじゃなくて…話が出来るかもなんて!
感動と緊張が混ぜ合わさって、今自分は凄い顔をしているはずだ。
その証拠に私達に近付いて来ていたきっくんが、困った顔をした。
「あ、この人インタビューされると思って緊張してるだけなんで気にしないで下さい。この顔はいつもなんで」
私の表情ときっくんの様子に気付いた美優が天の助けをいれてくれた。
「あ、よかった。てっきり俺の彼女に近付くな的な感じかと思っちゃったよ。テヘ」
そう言いながら右手で自分の頭を上からコツンとグーで叩き、これでもかって程顔を崩すきっくん。
うおーーー!早速きっくんの変顔キター!
「きっくんのその顔がうざくて睨んでたんじゃないの?」
睨んでません!先生達を睨むなんてあり得ませんから!
あろまがチラッと私の方を見たような気がするが、あの鬼のお面に阻まれて視線はよく分からなかった。
ただ、口元がニヒルな感じに笑っています。萌です。
「睨んでないですよ。急にだったんで、緊張しちゃって」
やっと自分から喋る事が出来たが、内容はお粗末なものだった。面白みもなく普通の対応に自分の事ながら情けない。