第3章 トイレ事情
(失礼しまーす)
心の中で頭を下げながら、あまり周りを見ない様に中に入って行く。
悲しい事ながら、2人いた男性にビックリされる訳でもなく、普通に入って行けた。
堂々としてれば、ばれない…大丈夫、大丈夫
念じながら足早に入り個室に入る。
もうその後は…マッハで用を足しましたよ。
用事が済んでも、いっときは個室から出ず人の気配が無くなるのを待った。
話し声や、足音が聞こえなくなったかな?
色々と外からアナウンスも聞こえて来るから、イベントも始まったのであろう。まだ女子トイレからは話し声が小さく聞こえるが、男子トイレからは人の気配が途絶えた。
よし、今しかないな。慌てず、何気無い顔して出て行こう…平常心、平常心
一つ一呼吸をすると個室から出て外に向かう。
「平常心…平常心…」
短い距離でも緊張するので、小さく俯きながら歩く。
何とか人にも合わず出口に向かえそうだ…よかった
「よかった…って、うわ!」
出ようとした瞬間、顔を上げると丁度男性の胸板が目の前にあって、人にぶつかりそうになっていた事に気が付いた。
「おっと、あちゃーゴメンね。ちょっと余所見しちゃってたわ」
「いや、すみません俺こそ前見てなくて…」
そう言いながら何気無く顔を見た私を呪いたい。
「あ!」
「…え?」
信じられない。相手は指をさして驚き
私は信じられない事がおき、現実か信じられなくて疑問の声しか出ず。
「さっきの彼氏君じゃん!」
指をさしたまま、二カッと笑う姿が素敵なこの方は
「…きっくん…?」
え、嘘ですよね。