第1章 イベント前日
よし、出来た。
「で、何よ?用事って。」
美優に向き直ると暇を持て余していたのか、携帯を弄っていた。
私が声を掛けると、バッ!と顔をあげ嬉しそうに笑う姿をみると、何だかんだと憎めないやつなのですよね。
「あ、あのね…由香…落ち着いて聞いてね…」
「な、何よ。美優がそんな真剣な顔するとビビるじゃんか…。早く言ってよ」
「なんと、なんと!由香の好きなMSSPが急遽サプライズで極パーティに参加する事に決まりましたー!」
イエーイと、片手を挙げる美優に思わず私も片手を挙げハイタッチをするが、それどころじゃない!
MSSP!あの中二病プロジェクトのMSSPですか?!
どんなに大好きで、会おうと思っていたのに、今までは仕事の関係でMSSPが参加していたイベントには行けて無かったのだ。今回もやっと行ける極パーティのイベントには参加者欄にのっておらず諦めていたのに…
生MSSPに会える?!
「で、でかした美優ー!」
「でしょ、でしょ?もっと褒めていいんだよー。」
えへへっと照れながら笑う美優の頭をグシャグシャとかき混ぜると、乱れたヘアースタイルに文句を言いながらも嬉しそうだった。
「でも、その情報どうしたの?昨日2525動画の極パーティの記事見てもそんな事書いてなかったのに…」
そう、欠かさず毎日チェックをしている私だが、そんな情報はまだ出ていなかった。仕事中にページが更新されたのかな?
「…内緒なんだけどね、私の今の取引先の人がニワンゴの偉い人でさ。2525動画が好きなんですって話をしてるうちに参加者の話しになって…。まだシークレット情報ってやつですよ旦那」
悪い顔をしながら言う美優に、美人が台無しだな…って思っていると更なる情報をくれた。
「由香が参加する予定のコスプレエリアにもMSSPレポートに来るんだって」
「神様!もう私死んでもいい」
美優からの信じられない情報を聞いて放心していると
「ね、早く言いたかった私の気持ち分かってくれた?」
なんて、口の端をあげて腕を組んで微笑む貴方が小悪魔に見えてしょうがないです。
美優と明日の予定の話をした後に、帰り支度をした私は、明日は人目だけでもいいからMSSPに会えますように!と願いながら帰宅したのだった。